変形・裁量労働制相談室

        ~変形労働時間制、裁量労働制の提案と導入にあたっての注意点
 
変形労働時間制
ますます経営負担となる残業・長時間労働
労働基準法では、原則として週の労働時間が40時間を超えた場合、また1日の労働時間が8時間を超えた時間外労働をさせるためには、労使協定を締結し(36協定)、これを労働基準監督署長に届けなければなりません。
 この手続きのない時間外労働は違法となります。つまり、時間外労働に対して残業代を払うだけでだめで、法律にのっとった手続きが必要となるのです。

しかしながら、現実にはその残業代も払わない「サービス残業」が横行しています。使用者が知らないうちに中間の管理職がその実態を隠してしまうこともあるからです。

 それでは適法に届け出て、残業代を払っていればそれで安心なのでしょうか。
近年、慢性的な長時間労働の為うつ病になり、それが原因で自殺した従業員に対して労災保険が適用されるようになりました。自殺が労災適用になったと言うことは、企業がその自殺に対して責任があるということです。

 労働契約法には、使用者は労働者の生命、身体等の安全の確保に配慮をする義務(安全配慮義務)があると定められていますから、使用者は刑事および民事上、大きな訴訟リスクを負うことになったと言えます。
 使用者にとって、労働者の労働時間の実態をしっかり管理し、時間外労働を抑制することがおおきな課題となってきています。

「5割増賃金」時代への備えが必要

平成22年4月1日に、長時間労働を抑制し、労働者の健康を確保するとともに仕事と生活の調和がとれた社会を実現することを目的とした改正労働基準法が成立しました。

この改正のポイントは月60時間を超える法定時間外労働に対して、使用者は50%以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならいない、という点です。(中小企業については、当分の間、法定割増賃金率の引き上げは猶予されます。施行から3年経過後に改めて検討することとされています。)

また、「時間外労働の限度に関する基準」が改正され、労使で特別条項付き36協定を結ぶ際には、新たに、限度時間を超えて働かせる一定の期間(1日を超え3か月以内の期間、1年間)ごとに、割増賃金率を定める、とされました。


労働時間対策は、まずはすぐできることから。


残業問題に対する使用者の関心として次の3つが大きいと思われます。

 長時間労働を抑制したい。・・・・・これは、おもに行政サイドからの要請です。

■ 残業代の負担を軽減したい。
・・・・・・経営者の立場からの要求です。

■ 多忙な時期は法定の原則の枠を超えて労働者を働かせたい。
・・・経営者の本音です。

それぞれについて、どういった労働時間対策があるのか、を述べてみたいと思います。


●残業申請・承認制度を導入する
 すぐできて効果の高い残業時間の削減方法としては、従業員が残業をする際必ず申請の手続きを行うことを義務付ける残業申請制度を導入する方法です。残業を申請し、これを上司が承認することでかなりの不要な残業を減らせます。
申請書には、残業を行う業務上の理由、業務内容、予定残業時間数の3項目を記載します。

労働時間の把握を社員の申告にゆだねる自己申告制は過少申告が生じやすくサービス残業の温床になっているとの認識があるため、臨検監督が行われた場合、かなり突っ込んだ調査がなされることがあります。


●「ノー残業デー」を設ける
毎月1度か2度「ノー残業デー」を設け、所定労働時間内に仕事を終えるようにします。



●振替休日制度を規定して残業時間を削減する

 休日労働には法定休日に労働する場合と会社指定の所定休日に労働する場合の2種類があります。
ここでは法定労働日に労働する場合の残業代を減らす方法です。法定休日に労働させてしまうと、3割5分以上の割増賃金が発生してしまい、その日の賃金額は通常の1.35倍と会社としては重い負担となってしまいます。
 
そこで法定休日に労働した場合には、あらかじめ就業規則で同一週の特定の日に休日を振替える規定を設けておくことで、その日は労働日となり、休日割増賃金の発生を抑えることができます。


●固定残業制度を導入する
 固定残業代とは、賃金制度全体を見直して、賃金額の中に、例えば毎日1時間分の残業をしたものとみなした残業代を含むこととしたものです。この1時間は会社の事情に合わせてある程度自由に変更できます。
 実際に残業をしてもしなくてもこの残業代は支払います.。
残業が1時間を超えた場合は超えた分の残業代をさらに支払う必要があります。

 現状の賃金水準のままでその中に残業代を含ませると、従業員にとって基本給部分の減額になるので、労働条件の不利益変更に該当します。労働者と合意することのない就業規則の不利益変更は原則としてできないので注意が必要です(労働契約法第9条)。

 通常、職務手当や役職手当には残業手当を含ませることが多いですが、この場合就業規則にも賃金明細にもきちんと明記し、さらには計算式まで明示しておかないと労働基準監督署の検査が入って調べられたら、残業代未払いと見なされますので要注意です。


●年俸制を導入する
社員の給料を、たとえば年俸500万円とし、500万円の中に例えば月々30時間分の残業代を含めてしまいます。
 これにより月30時間分は普段の給料で処理することができるようになり、30時間を超えた分だけ新たに残業代を支払えばよくなります。


●交替制(シフト制)を検討する
たとえば24時間稼働している工場や介護施設などでは交代制(シフト制)をうまく利用することで、一人一人の労働時間を8時間以内に抑えれば無駄な出費をなくすことができます。

(シフト制についてはこちらを参照)


制度の変更が必要になる???


 
●長時間労働を抑制したい。(A)

●残業代の負担を軽減したい。(B)

●多忙な時期は法定の原則の枠を超えて労働者を働かせたい。(C)

これらの経営サイドの問題を最終的に解決するには、労働時間に関係する人事・労務管理制度の変更が必要となってきます。 

労働時間制度
労働時間に関する人事労務制度には下記のものがあります。

①事業場外みなし労働時間制を導入する
営業マンが多くいる会社は「みなし労働時間制」を就業規則に規定します。
営業マンが外回りで8時間以上労働しても、実際より少なく労働時間を算定することができるようになります。

ただし、以下のようなケースは認められません。→なかなか認められなくなりつつあります。
・何人かのグループで事業場外労働に従事する場合で、そのメンバーの中に労働時間の管理をする者がいる場合
・事業場外で業務に従事するが、無線や携帯電話等によっていつでも連絡がとれる状態にあり、随時使用者の指示を受けながら労働している場合
・事業場において、訪問先、帰社時刻等当日の業務の具体的指示を受けたのち、事業場外で指示どおり業務に従事し、その後事業場にもどる場合


②専門業務型裁量労働制を導入する
 デザイナーや研究職、雑誌の編集者など一定の業種に導入できる制度です。
労働時間の管理を本人にゆだねることで、どんなに労働させても残業代の支払いが不要になります。

専門業務型裁量労働制では,対象業務が労基法で限定的に認められた業務に該当するかどうか, 「みなし時間」は妥当なものか,在社時間や深夜労働・休日労働の時間把握と健康福祉確保措置の実施状況等が問題とされやすいといえます。


③企画業務型裁量労働制を導入する
企画、立案、調査及び分析の業務に従事する労働者に導入できる制度。
専門業務型と同じく、労働時間の管理を本人にゆだねることで、どんなに労働させても残業代の支払いが不要になります。

裁量労働制を導入している事業場の多くに臨検監督がなされています。
企画業務型裁量労働制は,対象業務を幅広く設定しがちという導入企業の実態があるため、対象業務は労基法が想定する「事業運営に関する企画・立案・調査・分析業務」に該当しているかどうか、対象者の範囲は現に裁量性を有する適正なものとなっているかどうかが一つのポイントであり、この点について踏み込んだ調査がなされることがあります。


④変形労働時間制を導入する
 変形労働時間制とは、閑散期における所定労働時間を短くする代わりに、繁忙期における所定労働時間を長くするといったように、業務の特殊性や閑散繁忙期間に応じて、労働時間配分等を行うことに よって、全体として労働時間短縮を促進するための制度です。
 
つまり、一定条件の下で一定の期間における特定の日または特定の週に法定労働時間を超えて労働させることを認めるものです。
この場合、一日について8時間を超えても、あらかじめ取り決めた労働時間までは働かせることができますし、その分の割増賃金も不要になります。 

 月の後半に仕事が集中したり、2週間ごとに繁閑がやってきたりする事業は1ヶ月単位の変形労働時間制を、また1年の内に繁閑の波が大きい事業なら1年単位の変形労働時間制の検討も考えられます。 
<労働時間制度と対応業種>

労働時間制度

特徴

業種等

注意事項

裁量労働制

専門業務型裁量労働時間制

・成績が上がれば、働き方を問わない

・研究開発職等の19の業務に限定

 適用業務に該当すれば最適な制度です。

企画業務型裁量労働時間制

・企画、立案、調査。分析等業務で作業指示をしない。

・研究職

 大企業の企画調査部門など導入事業場が限定されます。

事業場外労働のみなし労働時間制

・事業場外で全部または一部働き、労働時間の算定が困難。

・外回りセールス

・保険外交員

 携帯等情報機器が普及しているので、導入にあたっての法的要件のクリアは難しくなっています。

変形労働時間制

フレックスタイム制

・労働者に始業・終業時刻を自由に決定させる。

・研究開発職

・製造業やIT企業の企画開発部門や研究職など多様

 会議・研修・打ち合わせなど社内の意思疎通に難点が残ります。

1週間単位の非定型的変形労働時間制

・小規模のサービス業の一部で、業務の繁閑が直前でないと分からない。

・料理店、飲食業

・小売業

・旅館

のいずれかに該当

 週ごとに勤務表を作成して文書で通知など煩雑なため、採用少ない。

1カ月単位の変形労働時間制

・シフト制を採用している。

・月末が忙しい会計業者など。

・交代勤務制で深夜勤務がある病院、介護施設、警備業、工場等で有効

・交代勤務制で長時間労働の飲食店、ホテルなど

 シフト制導入の業種に最適な制度です。

1年単位の変形労働時間制

お中元やお歳暮の時期だけ、繁忙になる会社の方には、お勧め

・ケーキ屋さん、お中元・お歳暮業者、引越屋さん、エヤコン業者、旅行業者、リゾート施設や結婚式場などなど

1年単位でも、 残業代は毎月支払義務が発生することに留意。



業種別に見た変形労働時間制導入状況

~あなたの業界ではどうなっていますか~


下記の表は、変形労働時間制の導入状況を見たものです。
これで見ると、
従業員1000人以上の大企業の約75%が変形労働時間制を導入していることがわかります。
特にフレックスタイム制は大企業の導入が顕著となっています。
一方、従業員規模が小さくなるにつれ変形労働時間制の採用率は下がっていきます。

業種別にみると、変形労働時間制を採用している業種が最も多いのは、鉱業、教育学習支援業。

長時間営業でシフト制をとることの多い飲食店・宿泊業、医療福祉、電気ガス熱供給水道業などで1か月単位の変形労働時間制を導入している企業が多いことがわかります。

飲食店・宿泊業では、全体で61%の企業が変形労働時間制を採用しており、その中で、1か月単位の変形労働時間制の採用率は36%となっています。
 
<変形労働時間制の有無、種類別採用企業数割合>
企業規模・産業・年 全企業 変形労働時間制を採用している企業 1年単位の変形労働時間制 1か月単位の変形労働時間制 フレックスタイム制 変形労働時間制を採用していない企業
100 52.9 35.8 14.4 4.9 47.1
1,000人以上 100 74.8 24.4 39.7 30.6 25.2
300~999人 100 64.5 30.2 28.1 14.1 35.5
100~299人 100 59.1 37.1 19.3 5.6 40.9
30 ~ 99人 100 49.7 36.2 11.2 3.3 50.3
鉱業 100 67.5 51.7 21.3 4.0 32.5
建設業 100 60.6 55.6 4.8 3.3 39.4
製造業 100 57.8 45 10.2 5.2 42.2
電気・ガス・熱供給・水道業 100 56.5 26.8 34.9 11.3 43.5
情報通信業 100 39.8 12 8.9 23.3 60.2
運輸業 100 64 44.6 18.3 2.8 36
卸売・小売業 100 45.9 29.9 13.3 4.0 54.1
金融・保険業 100 24.6 2.6 17.4 6.1 75.4
不動産業 100 50.7 23.1 25.5 5.9 49.3
飲食店,宿泊業 100 61.3 22.7 36.1 4.5 38.7
医療,福祉 100 43.3 10.1 29.8 7.5 56.7
教育,学習支援業 100 66.2 50.9 15.8 1.5 33.8
サービス業(他に分類されないもの) 100 44.8 23.9 19.0 3.7 55.2
平成16年 100 54.8 36.9 14.3 5.9 45.2
   17年 100 55.7 36.4 15.3 6.8 44.3
   18年 100 58.5 39.5 15.2 6.3 41.5
   19年 100 55.9 38.4 13.6 6.2 44.1
   20年※ 100 54.0 36.8 14.0 5.5 46.0
(平成20年就労条件総合調査結果の概況 厚生労働省)

変形労働時間制でも月毎に残業代の支払い義務が発生する

~変形労働時間制の残業代計算はタイヘンです。残業代が発生するなら
やめたほうが賢明です。~



●1カ月単位の変形労働時間制を例にとると、「1カ月単位の変形労働時間制」とは・・・・

①労使協定または就業規則その他これに準ずるものにおいて、

②1カ月以内の一定の期間を平均して、1週間当たりの労働時間が40 時間(特例措置対象事業場は44時間)を超えないように各日、各週の所定労働時間を具体的に定めた場合については、

③その定めで特定された週に週法定労働時間を超えて労働させても、また,特定された日に8時間を超えて労働させても、時間外労働にならず、,割増賃金を支払う必要はない、

というものです。


●時間外労働となる時間
 1カ月単位の変形労働時間制の時間外労働となる時間は次のとおりです。

① 労使協定又は就業規則等により1日の法定労働時間(8時間)を超える時間を定めた日はその時間、それ以外の日は1日の法定労働時間を超えて労働した時間。

② 労使協定又は就業規則等により週法定労働時間(原則として40時間)を超える時間を定めた週はその時間、それ以外の週は週法定労働時間を超えて労働した時間。ただし, ①の時間は除く。

③ 変形期間における法定労働時間の総枠を超えて労働した時間。ただし,上記①,②の時間は除く。

これらの法定の枠を超えた時間外労働をさせる場合は、違法な労働時間となりますので、変形労働時間制を採用していても、36協定の締結は必要になります。

(注)変形労働時間制でも割増賃金の支払い義務があります。
1賃金支払い期ごとに、上記の①②③(1年変形の場合は③は対象期間の終了日です)で計算した残業代を支払います。
(この時、固定残業制を採用していたら、固定残業代を上回る部分の残業代を支払わなければなりません。)
残業代は③のみを払えばよいのではありませんので、くれぐれもご注意を。

(参考)
・法定時間外労働を行わせるためには、①1日②1日を超え3か月以内の期間③1年間のそれぞれについて、限度時間の範囲内で、延長することができる時間を労使で協定しなければなりません。(「36協定」)②③の期間について限度時間を超えて働かせる場合は、時間数や手続等について、労使で協定しなければなりません。(「特別条項付き36協定」)


勤務スケジュール表がちゃんとできていないと変形労働時間制は採用できない!

~シフト表がしっかり作れていないとダメ~

シフト制とは、営業時間や稼働時間など必要な時間帯を区切って、働く人が交替で勤務する制度です。
店舗や工場、病院、介護施設など稼働時間が長い職業に多い勤務形態です。

24時間をカバーする交替勤務制のところは、1日の勤務時間が8時間を超えることは必要不可欠な場合もあります。
そういう時は変形労働時間制を採用する事で法定労働時間を超えて就業させることができます。
 
変形労働時間制を組み合わせれば、労働者のスケジュールや会社の都合に合わせながら12時間勤務の2交代制や、Aシフトは10時間、Bシフトは6時間といった変形した働かせ方も可能です。

例えば介護施設でシフト表を組むときに、夜勤については、たとえば図表例の夜勤勤務者のように、16時~翌朝10時まで勤務 (休憩2時間、労働時間16時間) というように2勤務分を連続させるシフトを組むことが一般的です。

何も対策をしていなければ労働基準法第32条に基づき、8時間を超える分(この場合は残りの8時間の時間外労働) について割増手当を支給しなければなりません。

老人ホーム

 
ところが、1か月単位の変形労働時間を導入すると、この8時間分の割増賃金は不要になります。

1か月単位の変形労働時間制とは「労使協定または就業規則その他これに準ずるものにより、1か月以内の一定の期間を平均し、1週間当たりの労働時間が40時間を超えない定めをした場合、特定された週において40時間 (特例事業44時間)、または特定された日において8時間を超えて労働させることができる」というものです。
 
つまり、夜勤等で一日8時間を超える勤務をさせる場合においても、割増手当部分は支払う義務がなくなるわけです。
ただし、深夜の割増分の賃金を支払う義務は免れません。

(注)1週間の所定労働時間が法定労働時間の範囲内であっても、使用者が業務の都合により、そのつど任意に労働時間を変更するような制度は認められません。

 
サービス業のシフト管理については»»»こちら参照

1か月変形労働時間制を組み込んだシフト表の作成・変更の問題点

通常シフト作成においては、各人ごとに労働日や勤務の時間帯が異なりますので,シフト勤務表により毎月シフトを組みます。
 
 1カ月単位の変形労働時間制を採用する場合には,労使協定または就業規則等により.変形期間における各日,各週の労働時間を具体的に定めることが必要とされています。
また,始業・終業の時刻は就業規則の絶対的必要記載事項とされていますので,原則として,就業規則では,各日ごとの始業・終業の時刻を定めなければなりません。

 しかしながら,例えば「月末になってみないと次の月の予定が分からない」というように、事前に就業規則で定めておくことが困難な場合は、就業規則には,変形労働時間制の基本事項(変形の期間の始期と各シフトの始業・終業時刻のパターン,シフト勤務の分類に関する事項および勤務割表の作成手続き・周知方法など)について定めたうえで,変形期間中の各日ごとの始業・終業の時刻を,各人ごとの勤務割表によって特定することは認められています。

(参考)
「勤務ダイヤによる1カ月単位の変形労働時間制を就業規則によって採用する場合に,業務の実態から月ごとに勤務割を作成する必要があるときには,就業規則において各直勤務の始業終業時刻,各直勤務の組合せの考え方,勤務割表の作成手続及びその周知方法等を定めておき,それにしたがって各日ごとの勤務割は,変形期間の開始前までに具体的に特定すればよい」(S.63.3.14基発150号)。

つまり業務の実態から必要がある場合には、
変形労働時間制の基本事項を就業規則で定めたうえで、変形期間ごとに勤務割表によって各人の各日の始業就業の時刻を特定していくことが認められています。
具体的には、変形期間の初日の前日までにシフト表によって労働者に通知していればよい、ということです。


期の途中でのカレンダー変更の可否に関しては、その日その日の業務の都合によって労働時間を長くしたり,短くしたりすることはできません。 
ただし, 実務上は,いったん勤務割を決定・発表しても,臨時にその勤務シフトを変更せざるを得ない事態が発生することがあります。

やむを得ない理由があり、就業規則に労働時間の変更を行うケース、変更手続等を具体的に定めている場合には,変更が可能となりますが、限定されたケースについで慎重に行わない限り、安易な変更は違法となります。



1か月単位の変形労働時間制での具体的な労働時間の配分方法は?


1カ月単位の変形労働時間制を採用する方法としては.繁閑期の労働時間を,
① 1日の所定労働時間を固定しておき休日数で調整する,
② 休日数を固定した上1日の所定労働時間の長短で調整する,
といった2バターンがあります。


1日の所定労働時間を8時間とすると,この1カ月単位の変形労働時間制を採用しても各月に9日(うるう年以外の2月は8日)の休日が必要になります。つまり,毎月20日頃までの前半に休日を多くし,それ以降は少なくする方法をとればよいわけです。

(注) 各月に必要な休日数を割り出す計算式
(一日の所定労働時間×7日-40時間)×1カ月の歴日数     
     (一日の所定労働時間 ×7日)                ≦ 月間休日数


<具体例>
① 一日の所定労働時間を固定しておき、休日数で調整するケース(28日の月のケース)

ここでは、忙しい月末に休日を減らし、比較的暇な月の前半に休日を多くとるように設定する。
シフト表

<具体例>
② 休日数を固定した上、1日の所定労働時間の長短で調整する,ケース(31日の月のケース)

 たとえば,下図のように,比較的ひまな月の前半は1日の所定労働時間を7時間にし、忙しい後半は8時間ないし9時間にすれば,業務の繁閑に対応した効率のよい労働時間制度が設定できます。

後半の1日の所定労働時間は法定労働時間である8時間を超えていますが,対象期間中の所定労働時間の合計が限度時間の177.1時間の範囲内であり、1カ月を平均すると1遇当たりの労働時間が40時間を超えていないので、時間外労働にならず,割増賃金もいりません。


シフト表2

変形労働時間制(ex.1年単位変形労働時間制)導入の方法とポイント
★最初に、勤務カレンダーを作成し、その運用が徹底できる体制がとれるかどうかを確認する。これができることが
 導入の前提です。


①対象期間の設定
     ▼
②基準日(対象期間の最初の日)の決定
     ▼
③特定期間(徳に業務が繁忙な期間)の設定
     ▼
④対象労働者の範囲を設定 
←導入により不利益になる人がいる場合、同意が求められる。
・部署単位に設定できる。
     ▼
⑤労働時間、休日の特定   ←この作成と運用が徹底できるか。
・1日の労働時間、変形期間中の休日を特定しカレンダーを作成する。
・労働時間、休日には法律の制限あり。
     ▼
⑥1年単位変形労働時間制の労使協定の締結
     ▼
⑦就業規則の整備
・労働時間の規定は就業規則に定めなければならない。
     ▼
⑧労働基準監督署への届出
     ▼
⑨実施


 助成金を活用できます。
(締め切りました。)
 【概要】
労働時間等の設定の改善(※)により、職場意識の向上を図る中小企業事業主に対して、その実施に要した費用の一部を助成するものです。
※「労働時間等の設定の改善」とは、各事業場における労働時間、年次有給休暇などに関する事項についての規定を、労働者の生活と健康に配慮するとともに多様な働き方に対応して、より良いものとしていくことをいいます。

【支給対象となる取組】
いずれか1つ以上実施してください。
○労務管理担当者に対する研修
○労働者に対する研修、周知・啓発
○外部専門家によるコンサルティング 
(社会保険労務士、中小企業診断士など)
○就業規則・労使協定等の作成・変更 (計画的付与制度の導入など)
○労務管理用ソフトウェア
○労務管理用機器の導入・更新(※)
○デジタル式運行記録器の導入・更新(デジタコ)
○テレワーク用通信機器の導入・更新
○労働能率の増進に資する設備・機器等の導入・更新(拡充)
(飲食店での食器洗い乾燥機、小売業のPOS装置、自動車修理業の自動車リフトなど)
※ パソコン、タブレット、スマートフォンは対象となりません。
 

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<労働時間制度の位置づけ>
労働時間制ツリー図

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<業務特性と労働時間制>
業種別労働時間制度
例えば、長時間営業を強いられる飲食業など、シフト制で対応しているところが多いと思います。

シフトを導入しても、時期的に長時間労働が避けられない場合には、1か月単位の変形労働時間制を導入することが効果的です。
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正しい時間管理とそれに対応した賃金 (日、週、変形期間の3つで集計します。) が支払われていないと・・・
労使トラブルが発生した場合、残業代の再計算を要求されます。

助成金の申請が難しくなります。

指定業種の場合、指定取り消しのリスクがあります。

労基署の指導があります。